1kWの局免許を取得するために,1.9MHz/3.5MHz/3.8MHz帯用にミドルローディングコイルを配置した傾斜型アンテナ(基部給電)を製作した.
アンテナ設計ツールとしてMMANA[1]を利用した.また,電磁界シミュレータとして4nec2[2]が有用である.
(1) アンテナの設計
ミドルローディングの,上部エレメント長d1 = 10m (短縮率0.96/物理長10.4m),下部エレメント長 7.2m(物理長7.5m)とした.給電部からのカウンターポイズは給電点において,120°の角度で約20m×2本敷設した.
以上の条件で,MMANAを用いて,使用周波数に対してローディングコイルのインダクタンスを求める.その際,放射パターンについても確認しておく.可能な限り給電点インピーダンスは50Ωとなるようにする.
(2) ローディングコイル製作
ローディングコイルはペットボトル(硬質・炭酸水用500mL)にエナメル(UEW)線を巻いて作製する.
設計データに基づいて,コイル径D(mm),コイル長L(mm)., コイル線径φ(mm),巻数N, インダクタンスL(μH)の長岡係数に基づく関係式[2]からペットボトル直径D=66mmに対する巻数を求める.長岡係数A=0.65
(2D/L=2..54)
線径1mmのエナメル線のとき,L=52mm,N=45 で L=108μHとなる.
以下に,(1)で求めたローディングコイルのインダクタンス概略値と,当該インダクタンスを得るための巻数Nを示す.
f (kHz) |
L(μH) |
D(mm) |
N |
1910 |
108.5 |
66 |
55 |
3515 |
24.5
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66 |
17.5 |
3798 |
14.5 |
66 |
14.5 |
上表に基づいてローディングコイルを巻く.最終的には,写真2のような形で仕上げて,上部・下部エレメントの間に挟み込む型で取り付ける.
給電部から必要な長さの同軸ケーブルを引き,念のためアンテナチューナを介して送信機に接続する.SWRアナライザ(MFJ-259B)で共振周波数を求め,必要に応じて運用時にアンテナチューナを利用する.雨の日は,コーディングコイルの状態が少々気がかりであったが1kW運用は問題なくできた.
写真1. 途中段階調整中 |
写真2. 調整完了し雨水防止の大型ペットボトルカバー取付
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写真3. ほぼ完成段階のペットボトルアンテナ(あとはエレメントを引張るだけ)
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その他のアンテナ構造
・マストの最上部には,滑車でアンテナエレメント端を引き上げる構造
・エレメント先端部は,コロナ放電防止のための治具をカシメ止めした
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参考文献
[1]アンテナ解析ソフトNNMMA http://je3hht.g1.xrea.com/mmana/index.html
[2]電磁界シミュレータ 4nec2 https://www.qsl.net/4nec2/
[3]センターローディングアンテナ
http://www.asahi-net.or.jp/~iu1h-amn/Experiment/ExAntenna001/ExCentLoodingAn..
[4]コイル設計 http://jpuni.co.jp/coil/kobore/contents/coil_kantan_sekei.htm
[5]空芯コイル設計プログラム CoilMaster https://www.coil-master.net/